後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及目的と意義、ドラッグストア業界の状況について

調剤基本料には下記の加算項目がありますが、その中の2項「後発医薬品調剤体制加算」に関して、いわゆる後発医薬品(ジェネリック医薬品)の現状について考えてみます。

  1. 基準調剤加算
  2. 後発医薬品調剤体制加算
  3. 夜間休日等加算
  4. 時間外・休日・深夜加算

2022年度診療報酬改定では、薬局の調剤基本料の項目の一つである後発医薬品調剤体制加算点数の条件は次のように規定されました。

  • 加算1: 80%以上→21点
  • 加算2: 85%以上→28点
  • 加算3: 90%以上→30点

直近3ヶ月間で調剤を行った全数量中、後発医薬品の使用割合が何%以上あるかにより点数が加算されます。

後発医薬品の使用割合が高いほど加算点数が多いので、薬局側としてはより儲かるというしくみになっています。

なぜこのように診療報酬改定されたかというと、先発医薬品より価格の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用比率をアップさせることで国の医療費財政を削減し改善するためです。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは何か?

医薬品メーカーが研究開発した先発医薬品(新薬)は特許期間が定められているので、その期間中は独占製造・販売が可能です。

但し、特許期間終了後、薬効成分や生産方法や製造技法は共有の国民財産に移譲され厚生労働大臣の承認があれば、先発医薬品(新薬)として開発したメーカー以外の医薬品会社でも自社内で医薬品を製造したり販売することが可能になります。

このことから後発医薬品(ジェネリック医薬品)と呼ばれています。

後発医薬品を普及させることの意義と目的

後発医薬品(ジェネリック医薬品)を普及させることで次のメリットが期待できます。

  • 研究開発のための莫大な投資費用を削減できるので、医薬品メーカーは薬剤の効果や効能が同様の医薬品を製造販売し利益を得ることができる。
  • 研究開発費用を削減できるので先発医薬品より薬価が安く設定され、患者の医療費自己負担額が軽減され、国の医療費支出も低減できるので保険財政の改善に貢献できる。

厚生労働省では2013年4月、後発医薬品の使用率をアップするためのロードマップが策定されました。

2015年6月の閣議決定では、2017年に後発医薬品の使用率7割以上を目指し、2018年から2020年までには使用率8割以上という目標が設定されました。

その後、厚生労働省は2020年9月における後発医薬品の使用割合が約78.3%であると発表しました。

2021年6月の閣議決定では、品質に確保しながら後発医薬品を安定的に供給できるような方策を講じつつ、2023年度末には47都道府県で8割以上の使用率を達成するという目標が設定されました。

現在も厚生労働省は、この目標を達成するために後発医薬品の使用率をアップする方策を考え実施している過程にあります。

現在のドラッグストア業界の状況は?

2007年に薬事法の大幅改正が実施され医薬品販売の基準が変更され医薬品は第一類、第二類、第三類と3種類に区分されました。

第一類医薬品とは、病院で診察を受けた患者に医師が処方箋を発行し調剤薬局では薬剤師が処方箋に基づいて調剤を行い販売できるリスクの高い医薬品などをいいます。

第二類・第三類の各医薬品は薬剤師以外に登録販売者も販売することが可能です。

現在は、ドラッグストアに薬剤師が不在であっても第二類及び第三類に該当する医薬品は登録販売者が在籍していれば顧客に販売することができるため薬事法の大幅改正以降、ドラッグストア数も増加し続けており、2020年度の全国ドラッグストア推定総売上高は約21,725店舗合計で8兆5408億円と巨額に上っています。

また、ドラッグストアでも薬剤師が在籍していれば第一類医薬品及び処方せんの調剤医薬品も取り扱いができるようになっています。

以上のような医薬品販売業界の変化は、保険調剤薬局の事業経営に多大な影響を及ぼしているのが実情です。

次に2000年以降の日本国内におけるドラッグストア店舗数の推移を見てみましょう。

下表からも分かるように2000年以降ドラッグストアの店舗数は増加の一途をたどっていますので、調剤薬局事務として活躍できる職場数も増加しています。

調剤薬局事務の資格取得を目指している方にとってはチャンス到来といったところでしょうか。

回数 調査年度 企業数 総店舗数 総店舗増減数
第1回 2000年 579 11,787
第2回 2001年 590 12,558 771
第3回 2002年 641 13,343 785
第4回 2003年 642 14,103 760
第5回 2004年 671 14,348 245
第6回 2005年 640 14,725 377
第7回 2006年 621 15014 289
第8回 2007年 605 15384 370
第9回 2008年 578 15625 241
第10回 2009年 549 15971 346
第11回 2010年 535 16259 288
第12 回 2011年 525 16815 556
第13回 2012年 523 17144 329
第14回 2013年 501 17563 419
第15回 2014年 486 17953 390
第16回 2015年 447 18479 526
第17回 2016年 431 18874 395
第18回 2017年 416 19534 660
第19回 2018年 409 20228 694
第20回 2019年 401 20631 403
第21回 2020年 388 21284 653
第22回 2021年 382 21725 441
上表情報引用元:
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)
「第22回 2021年度 日本のドラッグストア実態調査結果報告」より
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