医療事務職は、患者への対応から医療のしくみや医学的な基礎知識など幅広い知識が必要になります。
医療事務職が理解しておくべき5つの基本
医療機関を運営していくに於いて医療事務職は、欠かせない職種になりますが、必要となる知識や技能も広範囲に及び、代表的なものとしては、次に関する実務的な知識が求められます。
- 診療報酬点数制度
- 医療関連法規
- 医療保険制度
- 医学的知識
- 患者接遇
診療報酬点数制度について
医療点数は診療報酬点数制度によって定められており、医療機関で作成し提出するレセプトは、これに基づいて算出されます。
診療報酬点数は細かく分類されおり、算定方法や規則が各区分でさらに設けられています。
医療事務職員は、診療報酬点数制度で定められている項目をしっかり理解しておかないと、算定を誤ったり請求漏れを起こす原因に繋がります。
医療関連法規について
医療機関で保険診療を行ったり運営していくには、医療法、医師法、療養担当規則など様々な法律が適用されます。
- 医療法…医療を提供する体制の確保を目的として制定されています。
- 医師法…医師免許についてや業務内容について定められています。
- 療養担当規則…医療機関内で行われる診療について細かく規定されています。
療養担当規則の一例として、診療行為で注射を行う場合、次のような場合に限り点滴注射を行ってよいとされており、各診療について事細かに定められています。
- 特に治療の効果を迅速に期待する必要がある場合
- 経口投与によっては治療の効果を期待することができない場合や経口投与をすることができない場合
- 経口投与によって胃腸障害を起こすおそれがある場合
このように日常の業務を行うにあたって、医療事務職員は療養担当規則について十分理解しておく必要があります。近年、医療事故などに対する訴訟も度々発生していますので、知識としてきちんと理解しておくことが重要になっています。
医療保険制度について
病院を訪れる患者さんは、社会保険や国民健康保険、老人保健や公費負担医療など多種多様な保険証を持って来院し受付に提出されます。
医療事務職員はこれらの保険制度をよく理解していなければ、患者さんに対して適切な対応ができません。
また、一部負担金が軽減されているケースも公費負担医療では多くあり、これが原因で会計ミスを起こしトラブルに発展する要因となります。
医学的知識について
レセプト点検業務は、医療事務で必ず必要になる重要業務です。
レセプト点検を行うには、医学的知識が必要になり、理解できていなければ病名と診療内容の整合性を確認する作業はできません。
投薬の場合、ある薬剤2.0gを7日分投与しているケースを例に挙げると、どのような病気に対してこの薬剤は効果があるのか理解していなければ病名と診療内容の点検は不可能で通常レセプト点検を行うことはできません。
もし、薬の効果がある疾患名がレセプトの病名欄に記載されていなければ保険適応としては認められない事態になります。
検査の場合は、血液検査で、ある検査が行われた際にレセプトの病名欄に、「〇〇機能障害の疑い」という記載がされることがあります。
このようにまだ病名がはっきりと確定していない状態を「疑い病名」とも呼びますが、疑い病名では、実際に血液検査という診療行為が行われていても保険は適応されません。
保険が適応されるには、病名を確定するための診断が必要となります。
レセプト点検業務では、医療事務職員が医学知識についても理解しておかないと実際の業務を行うことはできません。
因みに、レセプト点検で誤りが後に発覚しても、病名を追加・訂正する行為は医療事務職員の独自判断ではできず、診療担当医師に必ず確認し病名を示してもらう必要があります。
以上のように、基本的な医学的知識について医療事務職員が理解しておく事も大変重要になります。
患者に対する接し方(患者接遇)
医療機関に患者さんが来院する場合は、様々な不安を抱えているので患者さんの心理状態をよく理解することが大切です。
通常の一般サービス業と違い、病気で不安定な心理状態にある時は、患者さんの接し方に特に注意する必要があります。
また近年、ホスピタリティという言葉が医療現場でもよく聞かれるようになってきました。
病気により精神的に不安を抱き、肉体的にも辛い状態である患者さんの心情を汲み取り、療養生活に於いて心的ストレスや苦痛を軽減し治療に専念出来るような環境を提供することが医療機関の役割です。
精神的にも物理的にも安心と自立を患者さんや家族の方にもたらすための医療サービスが医療現場でのホスピタリティ(接遇)の本来の役割と言えます。
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