処方薬と市販薬の違い(管理方法・安全性など)

薬を処方する対象と投与・服用後の管理方法の違いとは

処方箋の薬について

 人間と違い基本的に動物は苦いものを口にしませんが、これは毒物を摂取しないという生体防御の一種です。

つまり、よく効く薬ほど副作用も強いことを意味しているといえます。

一方、病院において重症の病気の患者に対しては、副作用などの少々の危険を冒しても作用の強い薬を用いた治療が行なわれます。

これは、薬の「強い効き目」というメリットと「強い副作用・低い安全性」というデメリットのバランスを考慮し、「治療上の有益性が、危険性を上回る」と判断された場合です。

つまり、このケースでは、副作用というデメリットにあえて目をつむって使用されるわけですが、その前提条件として薬の投与時と投与後において医師の注意深い監視が義務づけられているわけです。

薬局の市販薬について

 一方、薬局で市販されている薬の場合には、次のようになっており病院で処方される薬と薬局の市販薬では根本的な相違があります。
  1. 病気の症状自体が重篤なものを対象としていないこと
  2. 薬の投与と投与後の監視とは患者自身に任せられていること

 主として2項の内容に対応するため、薬局の市販薬は副作用の少なさと安全性とを重視したものとなっています。

病院で用いられる薬の多くが市販薬のなかにも配合されていますが、これらのケースでも病院での使用実績の結果、副作用が少なく、安全性の高いことが確認されたものしか認められていません。

 また、もともと作用の強い「インターフェロン」「抗生物質(外用剤は除外)」「向精神薬」「ホルモン剤」「筋弛緩剤」「血圧降下剤」「糖尿病剤」「注射剤(注射剤は直接血液に入り作用や副作用が強く、厳重な管理が必要であるとされる)」などは市販薬として認められていません。

薬が実用化されるまでのステップと安全性

 病院向けと薬局向けとを問わず、薬は、次のステップで開発され実用化されます。
  1. 動物実験
  2. 臨床試験(人を使った実験)を行なって、「薬効」「副作用」「安全性」が確認される
  3. 厚生労働省の製造許可が認可
  4. 製造・販売

 薬効・副作用・安全性が不明の新規物質が発見・合成されると、この3つの段階を経て製造・販売されますが、このような新規物質は病院の処方施用の薬として医師の厳重な管理のもとで使われ、市販薬になることはありません。

 処方箋薬として十分な使用実績を積み、副作用や安全性が十分確認された薬については、市販薬として認められる場合があり、これを「スイッチOTC薬(OTCとはOver The Counterの略で薬局において薬剤師が患者に対面形式で販売することを意味する)」といいます。

 最近の例では「インドメタシン(筋肉痛剤)」「イブプロフェン(消炎鎮痛剤)」「H2ブロッカー(胃液抑制剤)」などが代表的なものです。

市販薬の多くは、病院で十分な使用実績を積んだ薬を複数種類組み合わせて製剤化したものが、実用化されるまでのステップを経て市販されています。

 以上のように、薬局で市販されている薬は、次のことを前提としているため、医師による処方施薬に比べて薬効・副作用は緩和で安全性は高いといえます。
  1. 重篤な病気や症状の改善を対象にしていないこと
  2. 投与時・投与後の管理(薬効・副作用・安全吐を含めた)は患者自身が行なうこと

薬の配合成分の違いとは

 病院では、患者の症状に合った薬が医師の判断によって決められるので、基本的には「1つの症状に対応する1つの薬」が準備されており、症状が複数にわたる場合の複数の薬の組み合わせは、個々の医師の判断にまかせられています。

 たとえば、かゆみをともなった水虫の場合には、かゆみを解消するために鎮庫剤(かゆみ止め)のクロタミトン製剤のベストロイド軟膏(丸石製薬)と水虫の原因となる自癖菌を殺傷するクロトリマゾール製剤のハクセリン軟膏(久光製薬)の2つの製剤が処方施薬として使用されます。

 一方、薬局で同じ症状のかゆみをともなう水虫薬を購入する場合は、かゆみ止め(クロタミトン)と自癖菌の殺菌剤(クロトリマゾール)を配合した1つの製剤である「ピロエースW軟膏(藤沢薬品工業)」を購入できます。

 かぜや胃腸病の場合には、症状が5つや6つにわたるケースがあり、処方施薬では数多くの製剤が手渡されるため「薬の過剰投与ではないか?」という疑いの念が患者の頭によぎることとなります。

 薬局の市販薬では「1つのかぜ薬」「1つの胃腸薬」で済むのが普通です。
たとえば、「消化不良・胸やけ・胃部不快感」という3つの症状があるケースでも、1つの胃薬で対応できることが薬局の市販薬の特徴といえます。

 このことは長所であるとともに短所にもなります。
なぜなら、薬局で購入した薬には、自分にない症状に対応した成分が含まれている場合も多いからです。

そのため、市販薬を購入する場合には、症状にマッチした成分を十分に吟味することがポイントとなります。

このような成分に対する知識をもっていないと、「肝心の症状に対応する成分は含まれず、それ以外の成分だけの薬を購入してしまう」ということにもなりかねないので注意が必要です。

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