終戦直後から現在に至るまで、日本では薬物乱用が頻繁に発生し大きな社会問題となっています。
政府は、薬物乱用を根絶すべく「薬物乱用防止推進新5ヶ年戦略」という目標を設定し対策を進めてきた経緯があります。
また、薬物乱用の歴史を見てみると、次のような流れで現在に至ります。- 第1期薬物乱用期(昭和20年〜30年代):
覚せい剤、ヘロインの乱用 - 第2期薬物乱用期(昭和50年〜60年代):
覚せい剤、大麻の乱用 - 第3期薬物乱用期(平成〜現在):
覚せい剤、MDMAの乱用
麻薬及び向精神薬取締法とは
麻薬及び向精神薬取締法は、乱用薬物を規制する代表的な法律になります。
麻薬指定の薬物
麻薬として指定されている薬物には、次のような種類があり、製造・輸入・販売・所持・使用などについては違法行為として法規制されています。
- ヘロイン、モルヒネ、コデイン
※アヘンアルカロイド系麻薬に分類され、特定種のケシから採取されるアヘンが原料。 - コカイン
- 合成麻薬
- 幻覚剤LSD
- MDMA
向精神薬指定の薬物
麻薬及び向精神薬取締法で「向精神薬」に指定されているものに、習慣性のある精神安定剤や睡眠剤などの医薬品も該当しますが、これらの製造や販売についても法規制があります。
その理由は、一定の規制をかけないと不正な乱用薬物として流通する可能性があり、習慣性のある精神安定剤や睡眠剤は、中枢神経系に作用を及ぼし、心身に損傷を与える危険性があるからです。
また、大麻取締法は、大麻(マリファナ)を規制している法律です。
覚せい剤取締法とは
覚せい剤取締法で規制されている覚せい剤は、正式にはアンフェタミン、メタンフェタミンと呼ばれます。
覚せい剤は別名ヒロポンという呼び方もされていますが、これは医薬品名で、医療用医薬品として厳重に管理され使用されています。
なので、現在、出回っている覚せい剤は、不正に海外で製造されたものを密輸入し、密売・乱用されているものがほとんどで、正規の覚せい剤ではありません。
薬機法(旧薬事法)による乱用薬物の規制について
薬機法(旧薬事法)では、正規の用途として使用せず、興奮作用・幻覚作用を得ることを目的として製造・販売されていた薬物を「指定薬物」に指定し規制することが可能です。
最近では、合法ドラッグ・脱法ドラッグなどの薬物乱用が問題になりましたが、昭和40年代頃には、シンナー遊びが流行し乱用薬物として大きな社会問題となっていました。
元々シンナーの正規の用途は、油性塗料を希釈するための薬剤で現在も市販されています。
但し、乱用して興奮・幻覚を得ることを目的とした販売行為を行った場合は、「毒物劇物取締法」で規制され処罰されます。
このように薬物として法律で規制されているもの以外でも、承認された正規医薬品が乱用されるケースもあります。
医療用医薬品ではリタリン、一般用医薬品では咳止めシロップが以前乱用され問題となっていました。
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