市販薬の注意書き 成分・効能の読み方

市販薬は、通常次の3点セットになっています。
  1. 直接の容器:薬を入れた容器
  2. 外部の容器:容器を収納した箱
  3. 効能書:箱のなかに入れた添付文書

 この場合、容器と添付文書には「成分・効能・用法と用量・保管や使用期限などの注意」などを記載することが義務づけられています。

容器には記載するスペースが少ないため簡略に記載されており、添付文書には詳細に記載されているのが普通です。

以下、これらの項目について説明します。

成分の読み方について

 例として、「ナロンエース(大正製薬)」の場合、2錠中の成分は次のように記載されています。
  • イブプロフェン144mg
  • エテンザミド84mg
  • ブロムワレリル尿素200mg
  • 無水カフェイン50mg
 消費者としては、これらの記載を示されたとしても、各成分の薬効が記載されていないので、重要な情報とはなりませんので、このなかの成分でいえば、次のような情報は自分で収集しなければなりません。
  • イブプロフェンは炎症にともなう痛みや腫れや発熱を抑える強力な薬で副作用も少ない
  • エテンザミドは非消炎系の痛みや発熱を抑える薬で副作用も少ない
 これらの各成分が総合された「ナロンエース」の全体としての薬効(効能)は、次の「効能(適応症)」で記載されますが、各成分の薬効を記載せずに「効能(適応症)」だけの記載は不十分です。

効能の読み方について

 例として、「ナロンエース(大正製薬)」の効能では、次のように記載されています。
  • 頭痛・生理痛・歯痛・抜歯後の疼痛・腰痛・肩こり痛・筋肉痛・関節痛・打撲痛・ねんざ痛・骨折痛・外傷痛・神経痛・咽頭痛・耳痛の鎮痛
  • 発熱・悪寒時の解熱

 自分の症状がここに記載された効能(適応症)と合致していれば使ってもよいことになりますが、この記載には注意が必要です。

 たとえば、炭酸水素ナトリウム(制酸剤)のみからなる製剤の「効能(適応症)」には、下記症状の改善とあります。

  • 胃酸過多
  • 胸やけ
  • 胃部不快感
  • 胃部膨満感
  • もたれ
  • 胃重
  • 胸つかえ
  • げっぷ
  • はきけ(むかつき・胃のむかつき・二日酔いと悪酔いのむかつき・嘔気・悪心)
  • 嘔吐
  • 飲み過ぎ
  • 胃痛

 これによると、制酸剤としての機能しかない「炭酸水素ナトリウム」でさえ胃腸薬として万能薬のような記載がされており、薬に詳しくない一般消費者に不適切な記載方法となっています。

 一方、次の成分が配合された綜合胃腸薬の「パンシロントリム(ロート製薬)]では、
  • マレイン酸トリメブチン(胃腸機能充進)
  • メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(制酸剤)
  • 炭酸水素ナトリウム(制酸剤)
  • 沈降炭酸カルシウム(制酸剤)
  • ビオジアスターゼ(消化酵素)
  • リパーゼ(消化酵素)
  • 甘草(消炎作用)
効能について、下記症状の改善とあります。
  • 胃痛
  • 胃重
  • 胸やけ
  • 食べ過ぎ
  • 胃もたれ
  • 不快感
  • 膨満感
  • はきけ
  • 食欲不振
  • 胃弱
  • 消化不良
  • 胸つかえ
  • 胃酸過多
  • げっぷ・嘔吐

 これら2つの薬を比較しても「効能・効果」に関して、これだけ違いがあるわけです。

このように、効能の記載は総花的で、その内容から的確に有益な情報を引き出すことは不可能に近く、これが、効能の記載の最大の欠点です。

したがって、各成分の薬理作用からこの薬の効能・効果を引き出すほうが的確です。

 ただ、鉄剤にビタミンCが配合されている場合には、ビタミンCは抗酸化作用やコラーゲン結合の役割ではなく、鉄の吸収を促進するための補助的な作用のために配合されています。

このような各成分間の相乗的な効果については専門家でなければわからないことがあるので、詳細な内容については知ることができない場合もあります。

 この種の代表的な例が漢方薬で、漢方薬は、各成分の薬理作用で薬全体の効能・効果を推定できず、各成分が集合してはじめて薬全体の薬効・効果が出るとされています。

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