生物由来の医薬品に関する法令規制

 血液製剤などにより人体に被害をもたらす大きな医療事故は過去にもいろいろと発生しています。

特に過去に発生した実例では、世界中で重篤な被害を及ぼしたエイズ感染が有名です。

ではこのような医薬品による被害を起こさないために薬機法(旧薬事法)ではどうように定めているのでしょうか。

 現在では医薬品の製造方法や使用される原料はさまざまですが、元々は植物の草や根、木や皮が医薬品の主な原料でした。

また、医薬品の原料として大変重要なものに動物の臓器や人間の血液などがあり、いろいろな種類の医薬品が製造されています。

 特に、動物の臓器や人間の血液を原料として使用する場合、その原料の供給元である動物や人間自体が病原菌などに侵されていたり、疾患を持っていたりすれば、その原料で製造された医薬品を使用した者が過去にあったエイズのような病原菌に感染する可能性もあり、人体に重篤な問題が発生するかもしれない大きなが危険性を持っています。

 そこで薬機法(旧薬事法)では、医薬品だけに限らず、生物や人の臓器や細胞・血液などを原料としているものについて、医薬部外品・化粧品・医療機器も含めて「生物由来製品」と定義しています。

生物由来製品は「保健衛生上特別の注意を要するもの」と位置づけられており、特別の規制が設けられ主に次のようなものが挙げられています。

  1. 細菌学的知識を有する者や医師、その他の技術者を生物由来製品の製造管理者として、設置しなければならない。
  2. 厚生労働省令で規定する「生物由来製品の特性に関して注意を促すための事項」などを医薬品の容器もしくは被包または添付文書に表示すること。
  3. 生物由来製品であることを示す旨を直接の容器または直接の被包に表示すること。
  4. 生物由来製品の承認取得者は、生物由来製品を譲り受け、または生物由来製品の販売業者、製造販売業者、賃借した薬局開設者、もしくは賃貸業者または診療所、病院もしくは飼育動物診療施設の開設者の氏名、住所などを記録し、保存しなければならない。
  5. 感染症定期報告といって、感染症に関する生物由来製品、その材料、原料による最新の論文などについて生物由来製品の製造販売業者は評価した結果を、定期的に厚生労働大臣に報告しなければならない。
  6. 感染症定期報告について厚生労働大臣は、薬事・食品衛生審議会に報告し、保健衛生上の問題の拡大や危害の発生を防止する必要があると認めるときは適切な措置を講ずるものとする。

 また、特定生物由来製品として、生物由来製品のうちでも血液製剤などのように、特に注意が必要となる医薬製品については、さらに厳しい規制が布かれています。

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