医薬品での重篤な副作用事例

間質性肺炎の発生事例

原因:小柴胡湯

 間質性肺炎が副作用として起こる可能性があると小柴胡湯の使用上の注意事項には記載されていましたが、小柴胡湯とインターフェロン製剤とを併用したことで、1991年(S3年)に間質性肺炎が発症したという実例が報告され、インターフェロンと併用して使用することは禁忌事項となりました。

しかし、間質性肺炎での死亡事故は、併用禁忌となってから以降も発生したため1996年(H8年)にドクターレターが配布され、同様の措置が同じ製剤がある一般用医薬品にも適用されました。

原因:風邪薬

 一般用医薬品の風邪薬が原因であると思われる間質性肺炎が2003年(H15年)までに、26件発生したと報告されました。

これを受けて、風邪と間質性肺炎の症状が類似しているので、「風邪の症状が改善せず悪化した時は、薬の使用を即中止して、医師の診察を受診すること」という内容が、一般用医薬品の風邪薬の使用上の注意事項に加えられ改訂されました。

スチーブンス・ジョンソン症候群の発生事例

原因:解熱鎖痛剤

 激しい皮膚粘膜症状を発するスチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)という全身性疾患がありますが、その症状は次のようなものです。

  • 高熱を発症する
  • 眼結膜・唇・□の中などに水泡や発赤、出血などが生じる
  • 紅斑・水泡・びらんなどの激しい皮膚粘膜症状を全身の皮膚に発症する

 なお、この症状が一番重篤な状態になった場合はライエル症候群と言われています。

ウイルスによりスチーブンス・ジョンソン症候群(SJS)が発生するケースも一部ありますが、発生原因の大半が薬剤の服用によるものだと考えられています。

ですが、一般用医薬品での発生事故も実際起こっています。

 以上の実例から、使用上の注意事項には、一般用医薬品の解熱鎮痛剤にイソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなどの成分が含まれる場合は、重い副作用として明記されています。

死亡発生事例

原因:アンプル入り風邪薬

 アンプル(小さなガラス瓶)入りの風邪薬が原因で、38名が重い副作用のショックにより死亡した事例が1959年(S34年)から1965年(S40年)にかけて発生し社会的に重大な問題となりました。

スルピリン、アミノピリンという薬剤成分が解熱鎮痛剤として、このアンプル入り風邪薬に含まれていました。

錠剤や粉剤などにもスルピリン、アミノピリンという成分は含まれていましたが、液剤であるアンプル薬は身体への吸収力が他の剤形と比較しても速いので、血液中に急速に吸収されるため、通常の用量を服用していても副作用が起こりやすいことが明らかになりました。

 以上のことから1965年(S40年)頃には製造が中止され製品は回収されることとなりました。

この副作用による死亡事故が発端となり、風邪薬に関する承認基準が制定され、スルピリンやアミノピリンなどのピリン系成分を一般用医薬品へ配合することは許可されなくなりました。

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