医薬品の承認申請から販売までの流れ

 医薬品メーカーは、医薬品として製造販売承認を得るために原薬、製剤、非臨床試験、臨床試験(治験)での試験結果をまとめた資料を作成して医薬品医療機器総合機構へ提出します。

申請から再審査・再評価のための調査は次のような段階をおって進められていきます。

  1. 医薬品の承認申請(申請に必要な試験結果をまとめたデータ資料を策定)
  2. 審査実施(医薬品医療機器総合機構に所属する各専門家が審査を担当)
  3. 審査結果報告書の作成
  4. 諮問
  5. 厚労省諮問機関で合否を諮る(薬事・食品衛生審査会が担当)
  6. 製造販売承認
  7. 薬価基準収載の申請・収載
  8. 医薬品の市販開始
  9. 市販直後調査(製薬企業が市販後6ヶ月間GVPに基づき調査を実施)
  10. 市販後調査(再審査・再評価のためGPSPに基づき調査を実施)

医薬品医療機器総合機構の役割

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構では申請資料を基に審査を実施しますが、下記のような業務が行なわれています。

  1. 医療機器や医薬品の審査
  2. 医薬品が市場販売された後の安全対策
  3. 医薬品の副作用、生物由来製品の感染などを起因とする薬害患者の救済対応
  4. 研究開発の振興促進

医療機器や医薬品の審査については、医学、薬学、生物学に関する専門家が集まり審査を実施し、各専門委員の意見を参考にしながら審査報告書を策定します。

審査対象の医薬品によりますが、薬事分科会又は医薬品部会で専門家が集い、新薬の承認審査、再審査、再評価、安全性審査などを行います。

薬事・食品衛生審議会の役割

 新薬の承認審査は、総合機構による審査が終了し審査報告書が作成された後、薬事・食品衛生審議会で審査報告書に基づき、各分野の専門的観点から総合的に検証評価を行い、医薬品として安全性や有効性などの問題がなく適当であると判断されれば医薬品として承認されます。

ちなみに、薬事・食品衛生審議会は厚生労働大臣の諮問機関になります。

 医薬品医療機器総合機構での審査から薬事・食品衛生審議会での承認を経て、製薬メーカーが医薬品の製造販売承認を得る期間は1〜2年が必要となっています。

ですが、新薬を患者に少しでも早く使用し治療できるような審査体制の構築が求められており、組織や人材の充実度を高める努力が行われています。

新薬市販後の安全性・有効性のフォローアップの仕組みについて

 市販された医薬品の品質、安全性、有効性について適切に評価を行うために、PMSに基づいて厳格に市場実態調査を行う仕組みが構築されています。

最新医学と照合し、品質、安全性、有効性を再検証するために、調査解析やモニターによる副作用監視などを実施します。

市販後調査 (PMS)とは何か?

 臨床試験の段階では、健康に特別問題がない状態の治験者を少数選び、薬が投与されるので、安全性や有効性について身体への影響具合は完全に把握しきれない現状があります。

しかし、市場販売される段階に移行すると、児童や高齢者、病気を発症している方、アレルギーを持っている方など、様々な健康状態にある方に薬が投与されるため、臨床試験では発見されなかった副作用などが発生する可能性があります。

なので、このような市販後の現状を正しく的確に把握し、より安全に薬を使用できるようにしていく方法を確立することが求められるため、PMSを遵守し完全履行することが必要になります。

 PMSは、次のような制度で成り立っています。

  1. 再審査制度
  2. 安全性の定期報告
  3. 再評価制度
  4. 副作用・感染症の報告制度

 また、実施にあたっては、下記の基準に準じて厳格に行われることになってます。

  • 医薬品などの製造販売後の安全管理基準(GVP)
  • 医薬品の製造販売後の調査および試験の実施の基準(GPSP)
市販後直後調査について

 新薬が市販された後、半年間は医薬品購入者の医療機関へ医薬情報担当者(MR)が定期的に出向き、使用に当たっては十分注意するよう助言し、深刻な副作用が発生していないかなどについて洩れなく情報収集を行います。

市販直後調査はGVPの制度に順じて運用実施されます。

再審査制度について

 一定期間の臨床結果に基づき市場に流通した後の医薬品は再審査を受ける必要があります。

そのため、新医薬品の場合は6年間、その他の医薬品は4年間に渡って市販された後、調査や試験を実施することが再審査制度で規定されています。

安全性及び有効性をチェックするために医療機関に対して製薬メーカーは使用成績調査や臨床試験をGPSPの制度に順じて行います。

 この調査や試験を実施している期間内については、6ヶ月・12ヶ月ごとに調査したデータ結果を集計し内容解析して海外情報も網羅した安全性定期報告を策定し、厚生労働省に報告する必要があります。

安全性及び有効性については、安全性定期報告に記載されている調査内容を基にして再審査が行われます。

再評価制度について

 再審査制度に順じて再審査が終わると、次に再評価制度に基づいて随時、安全性及び有効性についての確認が行われます。

再評価制度では、全医薬品が再評価の対象となり、医学・薬学について現在時点における最新情報、最新水準と比較照合して、品質、安全性、有効性について見直しが実施され、使用価値や使用制限について再確認されます。

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