治験ビジネス機関の仕事内容

 新薬開発を行うには、全世界の製薬メーカーなどと競合し勝ち残っていかなければなりません。

開発競争で先行し、一歩先に抜け出すには、開発の期間短縮とコスト軽減を講じることが重要になります。

そのために、新薬開発の支援業務を担っているCPOやSMOと呼ばれる開発機関への外部委託化、外注化、いわゆるアウトソーシングが多くの製薬メーカーで採用されています。

開発業務受託機関(CRO)とは何か?

 長期に渡る研究及び試験期間と多額の開発コストが新薬開発を行う場合には必要となってきます。

新薬開発が完了して医薬品として製品化され市販されても、必ず開発費を回収し利益を生み出すことになるとは限りません。

なので、製薬会社からすると社運を左右することになるかもしれない博打的要素を含んでいるのが新薬開発といえるかもしれません。

また、他の製薬会社より先陣を切って市販するためには、開発の着手から完了まで迅速に進め期間短縮を図る必要があります。

そのためには、専門スタッフを抱えることになりますが、将来必ず収益が見込めるかどうか分からないため、独自に人材を確保し続けることは大きなリスクとなります。

製薬会社は開発に対応できる専門人材を集める手間や独自で人材を抱える人件費などのリスクを回避するために、開発業務に精通し熟達した人材を有するCRO(開発業務受託機関)と言われる企業に外部委託することが一般的になってきました。

外部委託する目的は、開発に携わる人材にかかる人件コストの削減、開発期間の最短化です。

CROは、製薬企業が行う臨床試験の事業運営や業務管理に関わる仕事を部分的、全体的に業務を請け負い、製薬メーカーに代わって開発業務を行います。

受託業務では、主に治験実施計画書の作成、症例の報告書作成・登録、総括報告書の作成、薬事申請、臨床試験の進捗状況管理、データの管理、統計的解析、モニタリングなどの支援を行います。

日本国内でCROの活用が盛んになっている要因として、アウトソーシングが常態化している外資系製薬メーカーが日本進出し増加していることもその一因です。

治験施設支援機関(SMO)とは何か?

 主に病院などの医療機関で臨床試験(治験)は行われていますが、どの病院でも医療診療の業務は忙しく時間的に追われながら実施しているところが大半ですが、忙しいからといい加減な作業を行っていい理由にはなりません。

医療機関での治験事務業務としては、次のような書類作成を行う必要があります。

  • 治験契約書
  • IRBの運営と審議資料
  • 業務手順書(GCP対応)

以上の業務を請負い、正しくスムーズに治験を進めていけるよう医療機関を援助することが治験施設支援機関(SMO)としての役割です。

治験コーディネーター(CRC)の役割

 さらに治験施設支援機関(SMO)は、治験者に協力してもらいながらGCPに基き治験をスムーズに行い、治験結果を正しく集計する役割があります。

医師は治験開始前には、被試験者から治験薬投与に関しての承諾を得るために、文書に基づき実施手順や内容について正確に洩れなく説明を行い納得し同意を得るなど、治験参加者の人権や利益を損なわないように配慮することが求められます。

これら一連の行為をインフォームドコンセントとも言います。

治験に参加する患者は、丁寧な説明を医師に求めますし、疑問点や不安に思うことは質問し、自分自身で十分納得・同意してから治験患者として参加したいと考えている方が大半です。

出来れば、医師だけでなく他の専門家の意見や説明も聞いて参考にし質問したいと考えているはずです。

このような状況に対応するために治験コーディネーター(CRC)が存在し、医師と患者との仲介役として医師の説明などをフォロー支援しています。

また、迅速・正確に病院で実施される治験が進めていけるよう、CRCは治験患者への服薬指導、医師による報告書作成、薬剤部署の治験薬管理などの支援サポートを実施しています。

治験が頻繁に行われている病院では直接職員としてCRCを雇用する場合もありますが、治験数が少ない病院で独自にCRCを雇うことは人件費がかさみます。

そこでSMOでは、病院に自社雇用しているCRCを出向させたり、病院職員として従事しているCRCに対する教育訓練なども行い、治験がGCPを遵守しスピーディーかつ正確に行われるよう治験実施、医師報告書作成、事務局機能に関わる業務を支援サポートしています。

CRO及びSMOの業務まとめ

 以上のように製薬会社は臨床試験を行う際、多くの専門的技能を有した人材が必要になりますが、人材を抱えたままでは、多額の人件コストがかかります。

そこで、開発期間・開発コストの短縮・削減を図るために臨床試験の委託機関であるCROとSMOを活用します。

CRO及びSMOは、臨床試験を行う製薬メーカーの運営・管理作業に関して部分的、又は全体的に引き受け、臨床試験に関連する各種書類作成、薬事申請まで幅広く開発業務の代行支援を行う企業です。

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