調剤薬局での患者に対するカウンセリング

 調剤薬局に来た患者さんに対して登録販売者や薬剤師が適切に医薬品を処方するには、カウンセリングを行い会話を行う中で信頼関係を築いていき、本音を聞き出して問題や悩みを解消できるよう支援を行っていきます。

ドラッグストアなどの登録販売者は患者さんと接する頻度が高いので、カウンセリングの基本は知っておいてほしいと思います。

ここでは、登録販売者や薬剤師が患者さんに対してどのようなカウンセリングを行うのか、その流れについて見ていきましょう。

調剤薬局に来局した患者さんの話しの聴き方

 調剤薬局に処方箋を持ってやってきた患者さんから話しを聴く場合は、聞き役に徹する聴き方と、こちらから尋ねていく方法の2通りの聴き方があります。

受容的な聴き方のポイント

 受容的な聴き方では、決して相手の会話を遮らず黙ってじっくりと聞き役に徹し続けます。

適宜、相づちを打ち話に耳を傾けることで、相手が気軽に話しやすいような雰囲気を作っていきます。

原則、相手の話をさえぎったり、自分から話をしかけないので、会話の主導権は話し相手が握ることになるため、話したいことを中心に相手のペースで会話が進んでいくので、こちらが知りたい話に行きつかず整理が付きにくい状況になうがちですが、相手側は自分の話をしっかり聞いてくれているということで満足感があります。

積極的な聴き方のポイント

 積極的な聴き方とは、こちらが会話の要点を押さえて質問を重ね自分の聴きたいことを探っていく方法です。

適切なタイミングで質問を挟んでいくので話題があちらこちらに飛ぶこともなく、話にまとまりがつきやすいことと、聴きたい話題に持っていきやすく話を早く前に進めることができます。

会話の主導権を聞き手が握れるので、話の進め方をコントロールできるのが利点です。

感情の明確化のポイント

相手が本心で思っていることを聞きだすために、質問しながら相手の感情を引き出すには次の2通りの方法があります。

相手に自分の感情を表現させるためには、「そのことについてあなたはどう感じましたか?」という質問を、相手に自分の感情を絞らせるためには、「その経験は楽しかったですか?」という質問を投げかけます。

 どんな人でも心に問題や悩みがある場合、心配・不安・恐怖などの感情を抱くと同時に、早く楽になりたいという感情も抱いており、矛盾し対立した感情を同時に抱いているのが普通で、一方の強い感情を抱いている場合は、必ずもう一方の感情を抱いていることになります。

例えば、事業で成功し嬉しいという感情を抱いている方でも、一方では他人を踏み台に利用してここまで成功したという自責の念にかられながら生きている人もいます。

調剤薬局に来た患者さんの薬の例で言うと、長期間薬を飲み続けるのは副作用などの害がないか不安だという気持ちと同時に、この薬を飲まないと病気はよくならないという気持ちも抱いているものです。

このように自覚しているかどうかは別にして、常に2つの感情が心には存在していますが、話し手は、一方の感情しか訴えてこない場合が多く、もう一つの裏の感情を聞き出すために質問によるテクニックを使用していきます。

相手に自己決定を促す

 質問によって、矛盾する2つの感情を相手に提示し認識させることにより、自分の意思でどちらを選択するかの決断をさせる方法を専門用語で対決と呼びます。

話し手が一方的に自分の思うことを話している場合は、一方の感情しか訴えてきませんが、2つの相対する感情を並べて自覚させられた場合には、話し手が自分で強く感じている気持ちを選ぶことになります。

先ほどの薬の例で言うと、薬剤師が患者に対して2つの気持ちを言葉で明確に提示することで、患者は副作用が怖くて飲みたくないという恐怖心と、病気を治すために飲まなければいけないという2つの気持ちから、自己決定ができるようになります。

自己決定させるには、本人に目標を自覚させる必要があり、最終的に患者自身はどうしたいのか、どうなったらよいのかということを意識付けることが必要です。

この場合は「あなたにとって、どうなるのがよいと思いますか?」というよう質問を投げかけ、患者が自己決定できれば、薬剤師は共感を示し「よく決断しましたね。」などの励ましの言葉をかけることが大切です。

カウンセリングテクニックを身に付けることも重要

 以上のように、薬剤師・調剤薬局事務員など調剤薬局などに従事するスタッフは、患者さんと接する機会が多くあります。

なので、適切な対応をするにはカウンセリングを行いコミュニケーションを通して、患者さんの本音を引き出し、信頼関係を築きながら適切な薬の提供を行えるようにしていくことが大切です。

薬局、薬剤師・登録販売者・調剤薬局事務などにとって、患者とのカウンセリングも重要な仕事の一つだということです。

患者さんへのカウンセリングは、まず信頼関係を形成し、患者の問題を明確化し、自己決定させて適切な処置を行うという流れで進んでいきます。

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