医師の判断によって選ばれるのが処方施薬ですが、それに対して、薬局の市販薬は消費者によって選ばれます。
消費者が薬局で薬を購入する場合には、「効き目」以外に「服用の利便性・簡便性」や「使用感がよいこと」や「製剤の特徴」などの要素を考えるのがふつうです。
極端にいえば、後者の市販薬のほうがより強く市場原理が働くということができ、以前述べた複数成分の製剤化とあいまって、薬局の市販薬のほうが消費者のニーズに合った製剤を提供しているといえます。
薬局の市販薬の販売方法
薬局の市販薬は、直接、消費者が手にできないように「カウンター越し(Over The Counter)」に陳列することが義務づけられています。
これは、「薬の販売は薬剤師によってカウンター越しに説明することによって行なわれなければならない」ことが基本になっているからです。
薬の陳列は「症状別(たとえば、かぜ薬・胃薬のように)」に行なわれているのが普通ですが、消費者自らが手にとって見られないのが実情です。
まず、薬剤師などに症状を伝えて、しかるべき薬を目の前に出してもらい、説明を受けるという手順で販売がなされます。
つまり、薬の販売は「対面販売形式」であって、「セルフ販売形式」ではありません。
最近では、一部の薬については消費者が自ら手にとって選べるセルフ販売形式になっている店舗も見られますが、この場合、外箱に表示された成分がどんな症状に効くかを理解できる人は少なく、外箱に表示された効能を見て購人するケースが大部分でしょう。
しかし、たとえば胃腸薬やかぜ薬などほとんどの市販薬は、「同じような効能」が記載されていて、その記載から自分の症状に合った薬を正しく選び出すのは不可能といってよいででしょう。
それぞれの「成分」の作用を知らなければ的確な判断はできないのです。
このセルフ販売形式の場合でも薬剤師を活用するのがベストです。
そのためには、消費者側も薬や健康に対して多くの知識をもっているほうがよいと思います。
そのほうが対話の質が向上し、より有益な情報・知識を薬剤師から引き出せるからです。
なお、薬剤師との対応の際に、消費者(患者)側か最低限守ってほしいのは「病気や症状を詳しく伝えること」です。
また、できればその原因や経過なども伝えるようにしたいものです。
それによって薬剤師は、より的確な対応ができるようになります。
たとえば「下痢止め薬がほしい」というだけでは、その原因が「冷たいものを食べ過ぎて下痢を起こしたケース」と「かぜにかかって下痢を起こしたケース」では措置が異なります。
前者では「下痢止め」を勧めますが、後者では「整腸剤」を勧めます。
後者の場合、かぜのウィルスによって変化した腸内の細菌叢を元に戻したり、有毒物質の排出を促進するためです。
市販薬を使用する目的は
人間の体を健康・病気という観点から大雑把に分類すると、次のようになるでしょう。- 元気で健康な状態
- 元気はないが病気ではない状態
- 軽度の病気
- 重度の病気
- 死亡
日々前向きな生活を送り人生を有益なものにするためには、1項の状態であることが基本です。
このためには2、3項の状態になったら、ただちに1項の状態に戻すことです。
現在、多くの人々が半健康な2項の状態にあり、これを当然のことと錯覚しているフシがあります。
このことは、本人にとっては無論のこと、社会や企業や国にとっても大きな損失といえます。
2項の状態は、個人・企業などの目標達成の障害となるだけではなく、さまざまな事故や人的災害などをひき起こす可能性を高め医療費などの出費を増大させるからです。
同時に2項の状態を長期に放置しておくと、最終的に死期を早めることになります。
「市販薬は1項の状態を維持するために使用する」ということを肝に銘じてほしいものです。
元気で健康な状態から少しでも外れた症状が現われたら即、市販薬を使って元の元気で健康な状態に戻すことが重要です。
市販薬を使用するタイミング
症状の変化には「自覚できる症状」と「自覚できない症状」とがあります。
「発熱した」とか「痛みがある」というのは自覚できる症状であり、この場合は発見が早いため対応も迅速にできます。
しかし、「肝臓病」「肝臓障害」「高血圧」「糖尿病」などでは、症状を自覚できないのが普通です。
あるいは、自覚できたときは手遅れの場合が多いものです。
このような「自覚できない症状」に対しては血圧測定値などの「検査値」を利用します。
つまり、検査値が「異常値」を示した場合には、この検査値の変化を監視しながら市販薬を使用したり、場合によっては専門医の診察を受けることです。
検査値は定期的な健康診断の際に測定されることが多いですが、最近では種々の検査薬が市販されており、日常の簡便な健康管理のためには、これを利用するのもよいでしょう。
以前、かぜ薬のキャッチコピーで「くしゃみ3回、ルル3錠」「かかったかなと思ったら、コンタック600」などというものがCMで放送されていましたが覚えている方も多いと思います。
実はこれほど市販薬の使用目的と使用時期を端的に余すところなく表現しているものはありません。
市販薬は「かかりはじめ」にこそ使用するべきです。
「かかりはじめ」というのは、元気で健康な状態をわずかに逸脱した状態にあり、病気の力に対して体の抵抗力はごくわずかしか低下していない状態での手当・措置の有効性はきわめて高いわけです。
つまり、この状態では、比較的緩やかな効き目しかない市販薬でも十分に効果を発揮できるため、市販薬はよく効くのです。
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