介護保険法において薬局・薬剤師が関わるサービス内容と役割、介護サービスの利用手順について

介護サービス利用の流れと内容について

 要介護状態の高齢者対策として2000年に施行された介護保険制度ですが、制度は国民にも広く受け入れられ世間に定着したましたが、その後保険費用が年々増大する一方でした。

そこで、介護保険制度を存続させるため、2005年には大きく介護保険法が見直し改正されました。

しかし、制度施行後から15年以上経過した現在に至るまで高齢者の急増と少子化により、要介護者も増加の一途をたどっており、介護保険の制度運用に必要な財源も増大し続けています。

以下に介護保険制度の大まかな改定後のサービスの種類と内容を見ていきましょう。

1.介護サービス利用の申請
市町村の窓口で要介護認定の申請を行います。

2.市町村による訪問調査
申請者の状態を確認するため、調査票に基づき訪問調査を行います。主治医の意見書も入手します。

3.一次判定
訪問調査票の基本項目と主治医意見書を基に、コンピューターにより1次判定を行います。

4.二次判定
訪問調査票の特記事項と主治医意見書を基に、福祉関係者、看護師、医師などで構成されている介護認定審査会により2次判定を行います。

5.要介護認定審査の結果通知
審査結果が郵送で通知され、結果が不服であれば不服申し立てをすることも可能ですが、よほどの理由がない限り覆ったケースは聞いたことがありません。

審査結果には、非該当、要支援1〜2、要介護1〜5があります。

認定 ケアプラン要否 サービス内容
非該当 市町村の実状に応じたサービス
(介護保険外の事業)
介護予防ケアプラン 介護予防事業
(地域支援事業)
要支援
1〜2
介護予防ケアプラン

介護予防サービス
・介護予防通所介護
・介護予防通所リハビリテーション
・介護予防訪問介護など

地域密着型介護予防サービス
・介護予防小規模多機能型居宅介護
・介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等

要介護
1〜5

施設サービス
・特別養護老人ホーム
・老人保験施設
・介護療養型医療施設

介護サービス利用計画
(ケアプラン)

在宅サービス
・訪問介護
・訪問看護
・通所介護
・短期入所サービス等

地域密着型サービス
・小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等

介護保険制度で薬局と薬剤師が関わるサービス内容・役割

1. 居宅療養管理指導業者としての役割

 介護サービス事業の内、薬局や薬剤師が業務として関わるサービスには、居宅療養管理指導と介護予防居宅管理指導が該当し医療保険の給付対象である訪問薬剤管理指導と仕事内容は、ほとんど同じです。

保険薬局として許可を受けていれば、別途申請しなくても居宅療養管理指導の業者として指定されるので、業務を行うことが可能で、これは介護保険法上で定められているみなし規定によるものです。

 通常、介護サービス事業を行うには、都道府県知事の指定や認可が必要になり、制度施行時には、保険給付対象の事業者になるため、数多くの業者が参入しました。

ですが、保険薬局の指定薬局の場合は、すでに指定されているものとみなし、居宅療養管理指導業者となることが出来るという事です。

居宅療養管理指導・介護予防居宅管理指導に関しては、薬剤師・医師などがその業務を行えますが、居宅サービスと異なり、支給限度額枠の適応外の扱いになっています。

みなし規定の対象施設と事業
みなし規定対象施設 みなし指定事業
特定養護老人ホーム 介護老人福祉施設
老人保健施設 介護老人保健施設
介護老人保健施設、
指定介護療養型医療施設
短期入所療養介護
介護老人保健施設 通所リハビリテーション
病院、
診療所、
訪問看護リハビリテーション
訪問看護
病院、
診療所
訪問リハビリテーション
病院、
診療所、
保険薬局
居宅療養管理指導

2. 介護支援事業者・介護支援専門員(ケアマネジャー)としての役割

 薬剤師の免許を持っていれば、実務経験・職歴など一定の資格要件をクリアする必要はありますが、受験することが可能で試験に合格すると、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得することができる職種の一つとなっています。

介護支援事業者としての仕事も薬局において行うことも可能ですし、利用者からの依頼を受けサービス計画(ケアプラン)の策定業務をケアマネジャーとして引き受けることも可能になります。

3. 介護認定審査会委員としての役割

 市町村の受付窓口で利用者から要介護認定の申請手続きが行われた場合は、介護認定審査会において二次判定審査が実施されます。

この認定委員会の構成メンバーは市町村長が任命することになっており、医療分野、保健・福祉分野の専門家や有識者が指名され、医師、看護師、薬剤師などが対象になります。

任命された認定委員は、要介護度を決定する認定作業を担います。

4. 福祉用具貸与事業者としての役割

 介護保険給付が適用される福祉用具を販売したり扱うことができる業者を福祉用具貸与事業者と言いますが、一定要件をクリアすれば薬局でも指定業者として営業することが可能です。

5. 健康介護まちかど相談薬局事業としての役割

 健康介護まちかど相談薬局事業では、都道府県の薬剤師会が主となって、健康相談や介護保険に関する苦情相談を地域で受け付けたり、在宅医療の参画、包括支援センターとの連携などを行っています。

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