薬の剤形の意味・注意点と効果を発揮できる飲み方

 医薬品は、薬効を十分発揮させたり、最小限に副作用を抑えたり、服用しやすいようにするために、その剤形も様々で工夫がされていますが、それぞれの形には大切な意味があります。

調剤薬局に勤務している調剤事務職員として、よく購入されている薬についての剤形の意味と注意点についてはしっかりと理解しておきましょう。

医薬品の剤形の種類

医薬品には、大きく分類すると次の3つがあります。

  1. 注射剤:
    薬を直接体内に注入するタイプ
  2. 内服剤:
    薬を□から飲んで体内に摂取するタイプ。カプセル剤、錠剤、シロップ、散剤、水剤 等
  3. 外用剤:
    • 体内に内服剤や注射剤以外で薬を入れる坐薬・テープ剤 等。
    • 体内に薬を直接入れずに局所で薬効を発揮させる点眼・点耳・点鼻、軟膏・クリーム、うがい薬、浣腸、吸入薬 等。

内服剤と外用剤の使用時のポイント

 飲み薬などの内服剤又は外用剤は、一番よく使用する薬になり身近なものです。

次にこれらの剤形の薬を使用する際のポイントや注意点について見ていくことにしましょう。

腸溶錠(ちょうようじょう)とは

 「この薬は噛まずにお飲み下さい。」という注意書きが錠剤やカプセル剤に添付されていることがよくありますが、なぜこのような形状の薬にしたのかという事には、はっきりとした目的と理由があります。

まず、まずいから、苦いから、というのは容易に想像できますが、実は薬に含まれる成分がいっきに分解して薬が強く効き健康被害に繋がる恐れや口内にしびれを感じたりすることがあるので、注意事項を遵守する必要があります。

錠剤を噛み砕いて飲むと、胃酸に強くない薬は胃内で分解してしまうために効き目がありません。

なので、胃を錠剤の形で通過させて腸まで送り込み、アルカリ性である腸液によって錠剤を溶解させて体内に吸収させ、薬効を発揮できるように工夫が施されています。

このように薬が腸液によって溶解するので、このような仕組みの薬のことを腸溶錠と言います。

また、カプセル剤は、一旦胃内で溶解されるのですが、カプセル中の細粒は腸溶の薬が入れられており、2段階で薬の効き目が発揮されるように工夫されています。

徐放剤(じょほうざい)とは

 錠剤やカプセル剤や顆粒剤には、薬を少しずつ時間をかけて溶け出させて、長時間薬効を持続させる特殊な技術を施した薬もあります。

これらは、薬が少しずつ長時間に渡って放出されるので、徐放剤と言われています。

このタイプの薬は、通常1日3回に分けて服用しないといけないところを1回飲むだけで良いようになっているので、薬は時間をかけて徐々に放出されるように工夫されています。

服用する方も1日に3回でなく1回の場合は、手間が省け飲み忘れもなく大変便利なのは言うまでもありません。

このように考えて作られている薬を噛んで飲んでしまうと、1日分の成分が一度に過剰放出されてしまい、健康に悪影響を及ぼすことになります。

最近は、利便性が良いということから1日1回飲めばOKという徐放剤が増加してきましたが、注意点としては、1日に複数回他の薬と併用して飲まないこと、噛んで飲まないこと、などの注意を要します。

速崩錠(そくほうじょう)とは

 錠剤を□の中に入れるとすぐ形がくずれてスーと無くなってしまうように感じる薬がありますが、素速く錠剤が崩れる様子からこのような薬を速崩錠と言います。

速崩錠は、少量の唾液でもすぐ崩れてしまう薬なので、次のようなケースでは重宝します。

  • 嚥下機能が衰えている患者。
  • 外出先などで水が手に入らない場合。

しかし、舌下で薬が溶けて□の粘膜より成分が吸収される舌下錠とは違い、速崩錠の場合は□の中で錠剤が崩壊し、唾液と共に飲み込んで胃腸に届き、そこでやっと薬効成分が吸収されるので、口中で吸収されるようにはなっていません。

よって、次のような場合は注意が必要です。

  • 寝たきり状態や唾液料が少ない人は水を飲むこと。
  • 濡れた手で触れば薬が崩壊するため手が乾いた状態で触ること。
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