1.薬の処方と提供施設
調剤薬局があることの一つ目のメリットは、薬の処方と提供施設に関してです。
現在、高齢者の増加などにより複数の病院にかかる人が増えていますので、患者さんは複数の病院からいろいろな薬をもらっているのが現状です。
このことの何が問題かというと、まず薬の組み合わせによっては深刻な副作用が発生する場合があります。
また患者数が増加傾向にある中、病院が薬の調剤・処方まで一貫して対応するにも限界があり医師不足も問題になっています。
このことから医薬分業を国が推進しているのは、誰もが理解できることでしょう。
医薬分業により患者さんが複数の病院にかかっていても調剤薬局に院外処方箋を持って行くことで薬を一ヶ所から受け取ることができます。
調剤薬局事務が薬歴簿で患者さんに処方した薬の履歴を、データベースで管理することにより、薬剤師がこの情報をもとに、薬の組み合わせにより深刻な副作用を患者さんに与えないかの事前防止をとることが可能になります。
データベースを活用すれば、瞬時に過去の患者さんの処方薬について検索することが可能です。
調剤薬局があることにより病院側も診察や治療にあてる時間が増え専念できるので、患者さんにとっても病院側にとってもメリットが発生します。
2.調剤薬局の増加傾向
調剤薬局があることの二つ目のメリットとしては調剤薬局が増加傾向にあるという点です。
医薬分業が推進され調剤薬局が増加傾向にある状況は、ますます調剤薬局事務に対するニーズが高まる傾向にあり、調剤薬局事務の資格取得を目指している人たちにとっては、追い風が吹いていると判断できます。
従来は病院で一貫して診察・治療から薬の調剤・処方までが行なわれていましたが、医薬分業が推進されていることにより、病院では治療まで、薬の調剤処方は調剤薬局からという仕組みが定着しつつあります。
医薬分業を更に進め実現させるためには、現実問題として調剤薬局を増やす必要があります。 病院だけが存在していてもこれは実現できません。
調剤薬局での収益は、患者さんから徴収する薬の料金と保険者への報酬請求がほとんどです。
患者さんと保険者の負担率を比べると保険者の負担率が圧倒的に多くなります。
ということは、保険者への調剤請求業務が、調剤薬局にとっては大変重要な仕事になってくるのです。
保険者への調剤請求は、レセプトを作成をして提出する必要がありますが、これは調剤薬局事務の専門的な仕事になってきます。
調剤薬局が各都道府県でいたるところで出店してきているために、調剤薬局では調剤薬局事務のできる人材を求めているということにより調剤薬局事務の就労先を見つけることが比較的容易になっているといえます。
この傾向は調剤薬局事務の資格を目指す人にとっては大きなメリットと考えられます。
3.雇用形態が豊富で働き方を選べる
調剤薬局があることのメリットの三つ目は、雇用形態が豊富で働き方を選べるということです。
調剤薬局事務は、仕事の雇用形態が正社員・派遣社員・契約社員・パート・アルバイトと豊富にあるという特徴もメリットの一つとなっています。
このように雇用形態が多いということは、調剤薬局からの調剤薬局事務の求人募集の間口も広がることにつながってきます。
正社員を多く雇用するとなると調剤薬局側としても年収などの待遇や年金・保険などの問題もあり、現在のきびしい経済状況では経営を圧迫することになります。
しかし、パートや派遣社員という雇用形態になると、このような問題もかなり軽減され緩くなります。ですから、多く採用しても経営的にさほど負担にならなくなってきます。
これは調剤薬局事務の仕事に就こうとしている側からしても、求人募集が多くなるということは就職できる可能性が増えるということになり、メリットにつながっていくというわけです。
また最初はパート・派遣社員などで就職した後、調剤薬局事務の仕事の取り組み方や勤務状況により正社員として採用される方も少なくないようです。
4.女性が活躍している職業
調剤薬局があるメリットの四つ目としては、女性が活躍している職業であるということです。
次に、女性が活躍している職業とはなにかについて具体的に説明していきます。
調剤薬局事務の職場の特徴的な要素として、労働人口における女性の人の割合が比較的高いということが挙げられます。
その理由として考えられることは、調剤薬局事務の仕事は、資格を取得して活動することで比較的就職先が見つけやすいということが大きいかもしれません。
女性の場合は、結婚・出産を機会に一旦職場を辞めるケースが多く見受けられます。
仕事とともに育児も大変大切なことですので、やはり仕事との両立は困難な場合もあります。
育児に専念する場合は、職場を一旦離れざるを得なくなるでしょう。
その後子育ても落ち着いて再就職しようと考えても、年齢が高くなっていたり退職してからのハンデなどもあり再就職は困難になってきます。
しかし、そんな中で調剤薬局事務の資格を持っていた場合、比較的職場復帰が容易になります。
調剤薬局事務の資格を持っていることで知識やスキルが客観的に認めてもらえるため、その人の能力を証明することができ裏付けになります。
調剤薬局事務に関する資格については種類がいくつかありますが、一度資格取得すれば永久に調剤薬局事務の資格は有効です。
よって、どの時期からでも再就職、職場再復帰の道が開けて、他の職業に較べると比較的安定して容易に再就職、職場再復帰することができる傾向があります。
調剤薬局事務の仕事は、このような理由や社会背景があり、女性の働き手が多いようです。
主婦の方たちも子育てが落ち着いてからは、時間の融通が出来ますので、調剤薬局事務の資格を取得し、再就職に備えているという方も多いようです。