同じ薬を飲んでも、効く時とと効かない時があり、ひどい場合は副作用が出る時もあります。

また、この原因は、個人差、飲みあわせ、食べ合わせ、性別差、年齢差など様々な要因が考えられます。

ここでは、調剤薬局事務員も知っておいてほしい薬効作用が変化する様々な要因について解説していきたいと思います。

薬の作用に影響を与え薬効を変化させる要因とは

 薬剤治療の基本原則は、作用させたい身体部位に薬を到達させることで、薬効を最大限に発揮させることが可能になるということです。

胃や腸では服用した薬が溶解・吸収されて身体中に分布し、薬を作用させたい部位に到達します。

ですが、薬を飲んでも異物侵入として身体機能が反応するので、身体中に分布している間に、この薬を解毒し体外に排泄するような働きが起こります。

なので、薬の分布・吸収・排泄(排除)の強さや速さ・代謝(解毒)などが、薬が作用部位に到達する量に影響を与えていることが考えられます。

また、薬と食物との食い合わせによる相互作用も、薬の分布・吸収・排泄・代謝などに影響を与える要因の一つとなっています。

副作用が発生する頻度についても、男女差(性差)も関係しており、男性の1.5倍も女性のほうが副作用の発生リスクが高く、年齢差についても、高齢者の方がより副作用の発生リスクが高くなります。

その他影響を与える要因としては、個人や人種による遺伝、生活環境や習慣、病気などの疾患、嗜好品などが関係しています。

薬の作用に影響があるかどうか因果関係が明らかではありませんが、作用部位の薬に対する感受性が個人で異なっているということも要因としてはあるようです。

体内で薬の吸収に影響を与える要因とは

 体内で薬が吸収される量や速さには多くの要因があり大きく変化してきます。

一般的に薬の効き目が遅くなるのは、食物が胃腸内に多くある満腹状態の場合がが多く、薬が吸収されるのが遅くなり、時間をかけてゆっくりと体内に吸収されていくためです。

空腹状態の場合は、逆に薬の吸収が速まり、薬効が速く表れます。

しかし、薬の吸収度合いは単純に満腹状態や空腹状態では判断することができず、食物が胃腸にある状態であっても、油に溶けやすい薬の場合は多量に速く薬が吸収されていきます。

例えば、免疫抑制薬を服用している方が、食事で天ぷらを多く食べたりした場合、血中濃度の値が通常の倍ほどになったりするケースもあります。

また、薬の吸収度合いは胃腸内の酸性度やアルカリ度の違いによっても変化してきます。

薬の中には、コカ・コーラを飲んで胃腸内の酸度を高くすることにより、吸収率を向上させることができる医薬品も存在します。

逆に、吸収率を抑制してしまうケースに、薬と制酸剤を同時に飲んでしまったという場合が挙げられます。

この原因は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどが制酸剤に含有しているので服用した医薬品と成分的に結合することで吸収率を低下させてしまうためです。

なので、胃酸過多症・胃潰瘍に使用され胃液中の塩酸を中和する働きがある制酸薬を服用している方が他の薬を飲む場合は、3時間ほどタイミングをずらして服用するように注意する必要があります。

薬の作用到達点と吸収の速さと量は互いに影響し合っているので飲み方には十分注意することが重要です。

体内で薬が広がる分布作用を変える要因とは

 胃腸で溶解・吸収された薬は、血管を通り一旦肝臓に集められて、ほとんどの薬はそこで最初に代謝を受けた後に体全体に拡散していきます。

これは飲み薬の場合にのみ起こる体のしくみで初回通過効果といわれている働きです。

一方、注射で薬を投与しても飲み薬と違い肝臓を通らずに体全体に薬は拡散されていきます。

なので、注射薬の方が飲み薬と比較して、よく効く速く効くといわれているのは、上記のように注射薬と飲み薬の作用部位への薬の到達量が異なっているという理由が挙げられます。

一方、薬によって広がる部位や量など分布の差は、年齢・性別・個人でそれぞれ異なってきます。

薬の種類数も子供と大人では大きく違いがあります。

子供の場合は、体内に水分が多く含まれているので、薬は水に溶けやすい種類が多くあります。

高齢者の場合は、体内の水分量が少なく、脂肪の方が多いので、薬は睡眠薬など油に溶けやすい種類が多くあります。

また、皮下脂肪は、一般的に男性より女性の方が多く付いているので、例えばインスリン抵抗改善薬などを使用する場合、効き目が良いのですが浮腫などの副作用の弊害も発生しやすいので、投与する場合は量が制限されます。

 以上が基本的な薬の吸収・分布に関する作用の仕方が変化する要因となりますので、調剤薬局事務を目指している方も薬の知識として理解しておいてほしいと思います。

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